ダイビングをしていたオランダの高校生 ボヤンさんの1つの気づきが、地球の未来を明るく照らす1つの光となりました。
[ada]
観光客がこぞって訪れる、美しいリゾート海岸。ダイビングやマリンスポーツで賑わう、青く澄み渡った海。そんな海の裏側には、日々膨大な漂流ゴミが流れ着く、ゴミだらけの海『太平洋ゴミベルト』が存在します。
海の素晴らしさを満喫しようと、ダイビングに興じていたボヤンさん。しかし彼が目の当たりにしたのは、美しい海でもたくさんの魚でもありませんでした。海中を漂う物体、…それは大量の漂流ゴミです。
普段から特に環境問題を意識していたわけではなく、普通の学生だったボヤンさんでしたが、その時気づいてしまったことから目を背けるとができなかったと言います。
『なぜ、ゴミを掃除しないのか?』『これはすぐに実行しなくてはならない問題なのではないか!?』
そして、ボヤンさんは高校で出された課題研究の際に、この問題の調査をはじめます。調査と実験を重ねるボヤンさん。全体のゴミの量を把握し、除去する方法を見出そうとします。
大学教授など専門家にも手伝ってもらいながら予測した結果は、『2020年には漂流ゴミは725万トンになるだろう。』ということでした。
重量で言えばエッフェル塔1000個分のゴミが海に漂っていることになります。
ボヤンさんはその除去の方法を研究する日々を送ります。
やがて19歳になったボヤンさんに、大きなチャンスが訪れます。
欧州トップクラスの工科大学で行われたTED×Delft 2012において、自ら発案し研究を重ねてきた漂流ゴミ回収システム、その名も「The Ocean Cleanup Array」を、世界に向け発表する運びとなったのです。
その時の映像がコチラ。(日本語字幕付き)
ゴミが流れ着く海域に巨大な柵を設置し、そこに溜まったゴミを回収するというシンプルな仕組み。船や網を使わないため、魚や海の生物たちが引っかかってしまうこともありません。動力は太陽と海流、環境にもやさしいのが特徴です。
ゴミ回収効果も絶大。なんと年間約725万トンもの漂流ゴミを回収できる計算になっています。さらに回収されたゴミはリサイクルされ、メンテナンス費用に割り当てもお釣りがくるというのですから、至れり尽くせりです。
「The Ocean Cleanup Array」は、TEDでの発表を通して世界中に広まりました。多くの賛同と高い評価で、クラウドファウンディングにも見事成功。開始からわずか100日で、目標としていた200万ドルの資金調達を達成したのです。
ボヤンさんが進めるプロジェクトは、実に壮大で画期的なものです。しかしそれは、1つの気づきを行動に移したことから辿り着いた結果なのです。
これは、私たちが忘れがちな「気づきを行動に移すこと」「頭で考えているだけでは何も始まらないこと」を教えてくれるのではないでしょうか。
例えば、足元に落ちている小さなゴミを拾うことからでも、行動することが大切だと感じさせられました。