2014年3月。ヘザー・クルーガーさんは、25歳という若さにして肝臓病の診断を受けました。
その3ヶ月後には肝不全を起こし、いよいよ末期状態に…。
「2ヶ月以上生きられる可能性は50%以下」
医師にそう告げられる頃には、自分自身でも少しづつ、身体が死へ近づいていることを感じとっていたそうです。
しかし、唯一の希望である肝臓ドナーを見つけられる可能性は非常に低く、ヘザーさんと家族は、まさに絶望のふちに立たされていました。
ちょうど同じとき。
イリノイ州で条例執行官として働くクリス・デンプシーさんは、ある朝たまたま社内の休憩室に立ち寄った際に、仕事仲間からヘザーさんの話を聞きます。
州の移植リストの順番が回ってくるのはまだまだ先で…
このままでは、連絡が来る前に彼女が亡くなってしまう。
クリスさんにとってヘザーさんは友人でも家族でもなく、ましてや会ったこともないはずの赤の他人。
しかし、この話を聞いた彼は…
迷うことなく「自分の肝臓が適合するか、テストを受けたい」と同僚に申し出ました。
ドナーになるためには、3つの条件があります。
同じ血液型で、肝臓の大きさも同程度であること、そして健康体であること。
検査の結果…
クリスさんは、この3つの条件すべてを満たしていました!
すぐに彼は、自分の肝臓の55%をヘザーさんに提供することを決めます。
見ず知らずの方が、ドナーになってくれる。
ヘザーさんとお母さんは、信じられない気持ちでいっぱいになりながらも、涙を流して喜びました。
それから数日が経ち、ヘザーさんとクリスさんは、ランチを共にしようと初めて対面します。
手術の日が近づくにつれ、2人の間には友情が育まれていきました。
そして、運命の2015年3月16日。
ヘザーさんとクリスさんが受けた手術は8時間以上にもおよびましたが、無事成功!
やがて、ヘザーさんが健康を完全に取り戻した頃…
術後も連絡を取り、お互いに顔を合わせていた彼らは、お互いの感情に変化が生まれていることに気が付きます。
その1年後の2016年10月
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教会の中には、神父さんの目の前で見つめ合う、ヘザーさんとクリスさんの姿がありました。
ヘザーさんは涙ながらに、誓いの言葉をクリスさんに伝えます。
いつでも私を信じてくれるあなたがいてくれるから…
私はたくさん笑い、微笑み、また夢を見ようと思えるのです。
もし、ヘザーさんのいとこがクリスさんの職場で働いていなかったら。
もし、クリスさんが見知らぬ女性にドナーを申し出るほど親切な人物でなかったら。
もし、クリスさんがドナーに適合していなかったら。
ヘザーさんは、すでにこの世にいなかったかもしれません。
奇跡によって紡がれた命と絆。
2人の末永い幸せを、心よりお祈りいたします。