ジェイミーさんは、その日もくたくたに疲れながら、食料品を買いにスーパーを訪れました。
しかし、泣きわめく2人の子どもたちを抱え、ようやくレジへと辿り着いたと思ったら…
クレジットカードが、200ドル(およそ24000円)の支払いを受け付けてくれません。
銀行に電話しても解決せず、後ろに続く行列はどんどん長くなるばかり。
持ち合わせも少なかったため、「別のカードを取りに帰るから商品を保管しておいて」と、大慌てで交渉します。
すると、そこに見ず知らずの青年・マシューさんが現れました。
そして、なんと彼は…
ジェイミーさんの代わりに会計を済ませてくれると言います。
しかも、あろうことか「お金は返さなくてよい」とのこと。
無論、大金ゆえに最初は困惑したジェイミーさんでしたが…
やがて、彼のあまりにもまっすぐな親切心を感じとり、その有り難いオファーを受け入れることにしました。
別れ際、マシューさんは彼女に伝えます。
その代わり、必ず誰か、他の人のことを助ける機会を持って欲しい。
そのまま立ち去ろうとする彼を引き留め…
ジェイミーさんは、なんとか名前と連絡先だけを教えてもらいました。
大きなハグをもらった感じよ。
およそ1週間後。
あの日の出来事がどうしても忘れられないジェイミーさんは、マシューさんから聞いた勤務先の番号に電話をかけます。
やはり、お返しの品だけでも送りたいと考えたのです。
ところが…
取次ぎをお願いするべくこの話を伝えると、ふと電話口にいた彼の上司が、泣き出しました。
いったい何事かと案じた直後
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ジェイミーさんは、「マシューさんは自動車事故で亡くなった」という、残酷な現実を告げられたのです。
悲劇は、2人が出会ってから1日と経たずに起こっていました。
直接お礼を伝えることも、お金を返すことも、もうできない。
ジェイミーさんの胸に、どうしようもない悲しみが込み上げてきます。
そんな時…
マシューさとんの「約束」が、彼女の中で蘇りました。
「必ず誰か、他の人のことを助ける機会を持って欲しい」
ジェイミーさんは、毎日を精一杯生きることの大切さと、まわりにいる人を助けてあげることの大切さを書き綴ったうえで、Facebook上に今回の出来事について投稿します。
彼女の決断。
それは、「マシューさんの遺産」を世の中に広め、親切の輪を可能な限り大きくしていくことでした。
結果、このエピソードはニュースでも取り上げられるほどに話題を呼びました。
マシューさんのお母さんは言います。
スーパーでの話についても、ぜんぜん驚いていませんよ。
彼にとっては当然のことです。
なお、Los Angeles Timesの「追記」には、こんな後日談が書かれていました。
道中、夫妻は4人の子どもたちと食事をとるべくレストランへ立ち寄った。
その後、会計を済ませようとして、彼らは驚いた。
すでに「見知らぬ誰か」が、一家の食事代を支払ってくれていたという。
マシューさんが遺したものは…
今日も世界のどこかで、困っている人を救っているに違いありません。