マレーシアのとあるスターバックス。
店内に入ると…たくさんのお客さんがいるにもかかわらず、とても静かな印象を受けます。
そしてカウンターには、声を出さず、代わりに満面の笑顔で手を振る店員さんの姿。
ここは、スターバックス初となる「聴覚障害者向けの店舗」です。
クアラルンプールにて最近オープンした今回の店舗は、手話通訳者協会(Society of Interpreters for the Deaf)の協力のもと、実現されました。
現在、マネージャーを含めた13人の従業員のうち、10人が聴覚に障害を持っているとのこと。
注文から商品の受け取りまで、すべてが手話を使って行われ…
手話が分からないお客さんには、メニューカードに記入してもらうという方法でオーダーを受けています。
会計時には番号札が渡され、注文の品が出来上がると、受け取りカウンターのディスプレイにその番号が表示される仕組み。
声で呼びかけることはありません。
店舗を取り仕切るストアマネージャーは、3年前からスターバックスに勤務しているというイヴォンヌ・ローさんです。
素晴らしい取り組みだと考え、このポジションに立候補しました。
そのローさんをサポートするのが、シフト・マネージャーのムハンマド・アイザト・ビン・アリフィンさん。
聴覚に障害を抱えながらバリスタとして3年間勤務した彼は、手話を通して自身の目標を語りました。
夢に向かって、今はシフトマネージャーの仕事を精一杯頑張ります。
昨年10月には、アメリカ・ワシントンD.C.にも同じコンセプトのお店がオープンされました。
この試みは、障害者の日常生活や社会参加を総合的に支援していく上で、今後も一つのモデルケースとなるでしょう。
お客さんとして訪れた方々にとっても、障害者の自立や社会参画について積極的に考えていくきっかけを与えてくれるに違いありません。