「ラプンツェルのように、髪をうんと長く伸ばしたいの!」そう夢見ていたのは、イギリス・バッキンガムシャー州に住むリビー・タッカー・スピアーズちゃん。
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過剰な不安や疲れやすさ、睡眠障害などを伴う全般性発達障害を抱える9歳の女の子です。
自慢のロングヘアーを、まだまだ伸ばしたいと思っていたリビーちゃんでしたが、ある日突然、その夢を諦め、髪をバッサリと切ってしまうことにしたというのです。そこには、実に健気で真っ直ぐな理由がありました。
■肝臓ガンの男の子
リビーちゃんにはボーイフレンドがいました。7歳になるエイデン・セリックくんです。2人はいつも一緒に遊び、楽しい時間を共有してきました。
しかし今年の4月、予想だにしなかった事態が訪れます。エイデンくんのお腹に異常な膨らみが見られるようになり、心配した両親が病院へ連れて行ったところ…なんと腎臓ガンであると宣告されたのです。
エイデンくんのガンはウィルムス腫瘍と呼ばれるもので、小児腎臓ガンの90%はこの種類であるとされています。きちんと治療を行えば、かなり生存率は高いのですが、その治療は決して容易なものではありません。エイデンくんの場合、肥大した腫瘍の摘出と27週間の化学治療を受ける必要があるとのことでした。
■幼きラプンツェルの決意
そんなエイデンくんが入院し、化学治療の一日目を終えたある日。リビーちゃんとお母さんのチャーリーさんは、お見舞いのため病院を訪れました。
そこで2人が目にしたのは、以前の面影が全くないほど弱々しくなってしまったエイデンくんの姿。顔はあまりにも青白く、きれいなブロンドのカールがかかった髪の毛も治療のせいで抜け落ちてしまっていたのです。
リビーちゃんにとって一番ショックだったのは、大好きなエイデンくんの髪の毛がなくなってしまっていたことでした。
「将来はエイデンのお嫁さんになるの!」と口癖のように話していたリビーちゃん。いてもたってもいられなくなったのでしょう。お母さんにすがりつき、「ママ!私の髪、今すぐ切って!その髪をエイデンにあげたいの!」と強く主張しました。
お母さんが「エイデンに髪をあげるのは無理よ」と言い聞かせても、何か役に立ちたいと言い張るリビーちゃん。
そこで、小児ガンと戦う子どもたちにウィッグを提供している”Little Princess Trust”というチャリティ団体に寄付することにしたのです。
■髪を切ったラプンツェル
こちらがバッサリとショートにした後のリビーちゃん。ロングヘアーはもちろん、こちらもとても似合っていて可愛らしいですね。
その後、リビーちゃんとお母さんは、エイデンくんのお母さんと協力してキャンペーンを始め、3週間で約21万円の寄付金を集めることができました。
そのうち6万円はチャリティ団体に寄付し、残りはエイデンくんの化学治療終了の感謝パーティーに使う予定なのだとか。エイデンくんもそれを希望に、辛い治療を日々乗り越えています。
将来は結婚して子供を3人作るという計画まで立てているほど、仲良しカップルのリビーちゃんとエイデンくん。見ているだけで微笑ましく、幸せな気持ちになります。
大人であっても、大切なものを失ってまで人助けをするということには、少なからず躊躇してしまうものです。しかし、リビーちゃんは踏みとどまることもなく、大切なロングヘアーをエイデンくんのために切り落としました。なんと健気で真っ直ぐな愛情でしょうか。
無事エイデンくんが元気になって、リビーちゃんと一緒に笑顔で過ごせる日々が待ち遠しいですね。