アメリカの介護施設に住むポール・スミスさんは、生まれつき脳性まひを抱えていました。
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脳性まひとは、何らかの原因で脳のある一部分が傷ついてしまい、運動機能などに重い障害が出てしまう状態のことをいいます。
そのため、ポールさんは16歳まで人と言葉を交わすことが出来ず、32歳まで歩くことが出来ませんでした。
そんなポールさんが11歳のとき、その後の運命を決める ある出会いが訪れます。
その日たまたま拾ったのは、誰かが捨てた何の変哲もないタイプライター。
そのタイプライターで遊び始めたポールさんは、単に文字を打つだけではなく絵を描くことに挑戦し、その才能を開花させたのです。
自身の体の動きが大きく制限されながらも、右手の人差し指1本と、わずか10個のキーでつむぎだすポールさんの作品。動物、肖像画、幼い頃に見た風景など、意欲的に何枚もの作品を残しました。
中でも圧巻なのが、モナリザです。
繊細なタッチを重ねながら表現する彼のモナリザは、どこか温かみのある表情をしています。
長くは生きられないと言われていたにも関わらず、85歳まで生き抜いたポールさん。彼の障害に負けない力強い作品は、今もなお多くの人に元気を与え続けています。