感情をうまく制御できない子どもたちのトレーニングを行う「Relax Kids」にて、10歳~11歳のクラスを教えているルージー・ダットンさん。
子どもたちに「いじめ」について考えさせるインパクトのある手段はないものか、と考えた彼女は、あるアイディアを思いつきました。
授業当日、彼女が準備したのは、二つの立派なリンゴ。教壇に立ったダットンさんは、そのうちの一つを子どもたちの前で手に取り、何故か思い切り罵り始めました。
さらに子どもたちにも、精いっぱいそのリンゴの悪口を言うようにと指示したのです。子どもたちは言われた通り、一人一人がそのリンゴを手に取り、けなしていきました。
「そこにいたんだ。気付かなかったよ」
「中に虫でも湧いてるんじゃない?」
次に、ダットンさんはもう一つのリンゴを手に取り、今度は真逆のコメントでそのリンゴを大絶賛。子どもたちへ自分と同じように褒めるよう指示し、やはり全員に回していったのです。
「かわいいリンゴだね!」
「とっても美しい肌!」
「なんてきれいな色なんだ!」
そして、二つのリンゴが子どもたちのもとから帰ってきた後、ダットンさんはそれぞれを真ん中から半分に切り、子どもたちに断面を見せました。
すると…
褒められたリンゴの中身は外見同様、とてもきれいなままだったのに対し、散々馬鹿にされたリンゴの中身は変色し、ボロボロになってしまっていたのです。
半分になった二つのリンゴを並べた時、子どもたちの衝撃は相当なものだったはず、とダットンさんは振り返ります。
いじめられて傷ついていても、表に出せない子がいる。子どもたちは、ダットンさんがもっとも伝えたかったことを十分に理解したようで、そのあとの話し合いは大いに白熱したそうです。
言わずもがな、いじめられた方のリンゴには、ダットンさんが授業の直前にあらかじめ傷をつけていました。悪口が原因で変色してしまったわけではありません。
このダットンさんのユニークな授業の内容は、Facebookに投稿されるやいなや、23万件以上もシェアされました。
こうした教育について、「嘘を織り交ぜるべきではない」と抵抗を感じる方がいるかもしれません。
しかし、ダットンさんが見せた二つのリンゴが、子どもたちの意識に大きく好ましい変化を生んだことは、疑いようのない事実です。