海外のメディアが揃って一生懸命に「新宿南口の焼身自殺未遂事件」を報道しているのに、日本のメディアはそんなに大々的に報道していないことに、疑問を持っている人がいるかもしれません。その理由の一つは、私たちを守るためです。何から守るのか?自殺からです。
ウェルテル効果
嘘みたいな話ですが、私たちの感情は、私たちが普段接する情報や感情によって操られてしまうことが多々あります。マスメディアの自殺報道に影響を受けて自殺が増えるということは、以下の「ウェルテル効果」として実証されています。
そのため、自殺がセンセーショナルに報道されることで、それが若年層などの目に「カッコ良く」映ってしまうことは避けねばなりません。
「ウェルテル」は、ゲーテ著の『若きウェルテルの悩み』(1774年)に由来する。本作の主人公、ウェルテルは最終的に自殺をするが、これに影響された若者達が彼と同じ方法で自殺した事象を起源とする。なお、これが原因となり、いくつかの国でこの本は発禁処分となった。
自殺大国日本
2014年版の自殺対策白書によると、日本の自殺者数は2年連続で3万人を切り、減少傾向が続いています。しかし、15歳から34歳の若い世代では、男女ともに死因のトップが自殺となっています。
若い世代で死因のトップが自殺なのは、アメリカやドイツなど先進7カ国のなかでは日本だけです。人口10万人あたり20人に上り、2番目に多いカナダの12.2人を大きく上回っています。政府は今年度も、約360億円を自殺回避の対策に充てています。
報道上のルール
ウェルテル効果を防ぐために、WHO(世界保険機関)によって「自殺予防 メディア関係者のための手引き」として、以下のことがまとめられています。
もちろん、海外のメディアも順守するべきルールですし、日本の大手メディアがどこまで順守できているかは、また別の議論になります。
メディアの方が気をつけるべき問題ですが、個人のブログやtwitterにまで順守させることは容易ではありません。また、規模の大きいブログでも数字が欲しくて写真を公開する場合などもあります。
自分が普段接しているメディアが、「どのような姿勢で自殺の問題を扱っているか」を見ることで、信頼すべきメディアかどうかの1つのモノサシとし、取捨選択を繰り返していくことが必要かもしれません。
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