大学教授の濱中裕明 (@Ototo_)さんが投稿した、ある大学でのエピソードに注目が集まっています。
実は昔、とある大学(勤務校の兵庫教育大学ではないです。名前は伏せます)で『数学』の授業の非常勤を数年したことがあるのですが、内容はほぼ算数でした。
その初回でプレテストとして(状況把握のために)いくつか問題を出して、そのうちの一つが「1000円の2割引はいくらですか」という問題でした。— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
そのプレテストの解答の中には、
「1000−2=998円」
「1000÷2=500円」
他にも
「2割=0.2である。よって
1000÷0.2=5000円」
という解答もあった。楽しい。
プレテストを返却するときに言ったんです。
「割引き、っていうから、割り算か引き算だと思ってるみたいだけど、掛け算だよ」(どよめき)— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
そのあと色々ありましたが、割合というものを理解せずに大人になると、こういう風になるんだなぁ、というのを目の当たりにした感じでした。もちろん、速さなんて理解してなくて「時速4kmで2時間進と、何km進みますか」という問いに対しても、多くの学生が「はじきを忘れたので、解けません」でした。
— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
面白いことに、そんな彼らも、数の計算ができないわけではないのです。例えば、280×3.2を計算してといえば、計算できます。(もちろんケアレスミスをすることもありますが)しかし、
— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
数直線を書いて、100、200、300、という目盛をつけたあと、280はどこ?(これは分かる)を確認したあと、280×3.2はどのあたり?と聞くと、「そんな難しい計算はやってみないと分かりません」というんですね。なるほど、と思いました。
— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
大事なことは計算の練習ではなくて、割合の表現が何を意味しているかの理解なんですね。そんな彼らに、割合とは何か、速さとは何か、彼らがつまづいてしまったところからきちんと授業しましたよ。
— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
授業の最後の感想文には、「これまで買い物の時、割引ってわからなくて、いつも心配でした。でも先生の授業で、安心して買い物できるようになりました。ありがとうございました」と。ちゃんと、教えれば分かるんですよね。
— 濱中裕明 (@Ototo_) July 30, 2023
なるほど…。
由々しき問題
不足しているのは計算能力ではなく、読解力や応用力だったということでしょうか。
たくさんの小学生の算数の勉強を見ていると実感出来てしまいます。計算の答えが合っていることで満足してしまい、その計算が何を表しているのか興味も関心もない子の多いことに。困ったことに文章問題で何が問われているのか理解出来ていないにもかかわらず、それが表面化しづらいという……。 https://t.co/qYwMTiwV4D
— 鼠取り猫@干しタラ、塩漬け牛肉の友 (@funa_neko) July 31, 2023
その意味を理解せずに公式を覚えるだけの勉強法が、このような結果を生んでしまうのかもしれませんね。
関連:「明らかに嘘だとわかる理由で欠席して」そう学生に伝えたら
みんなの反応
●答えを出すことに重きを置くとこんなふうになるのでしょうか
●「はじき」は弊害が多い。「手っ取り早い」だけで理解に結びつかない
●私も若干時速のところがふわっとしている。学び直したいな
●この学生たちを笑っちゃいけないんだな。最初の段階で取りこぼしているのを放置された、ある意味被害者なんだと思う。大学で学べる機会が出来ただけでも良かった
考えさせられるお話に、他のユーザーからも大きな反響が寄せられていました。