精神科医の🍀いちは🍀 (@BookloverMD)さんが投稿した、ある患者さんのエピソードに注目が集まっています。
田舎で一人暮らしの高齢女性が、都会に住む息子に連れられ受診。
症状は、物盗られ妄想。
「小屋のものを盗まれる」と言うが、置いてあるのはガラクタばかり。泥棒なんかいないと言い聞かせても、本人は頑なに「盗まれた」と繰り返すという。
こういう時は、まず患者さんを信じてみる。続
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
話を聞くと、妄想っぽさがない。この感覚の説明は難しいが、敢えて言えば「都合の良い決めつけ」がない。
例えば「いつ盗られたことに気づいたか」という質問には具体的に答えられるのに、「犯人の目星はあるか」という問いには「さっぱり分からない」と言う。続
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
物盗られ妄想の人だと、これが逆になる。「いつ盗られたのかは分からないし、現場を見たわけでもないが、盗んだのはアイツだ」と、自分の感情にとって都合の良い決めつけをする。
彼女の場合、それが全くなかった。続
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
認知症の検査では、年齢のわりにしっかりしたほうだった。とりあえず診断は保留。2週後の再診予約とした。
次の診察時、息子がやや興奮ぎみに語った。
「先生、どうやら本当に盗まれているみたいです!」
続
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
近隣住民も被害に遭っており、納屋に置いていたものが頻繁に盗まれていたらしい。
家族に信じてもらえたことが良かったのか、よく眠れるようになったそうでめでたく終診。
もし初診の時点で物盗られ妄想だと判断して薬を処方していたら、彼女の残りの人生は大きく損なわれていたのではなかろうか。
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
精神科医になりたてのころの話。
当時の自分には興味深いエピソードくらいの感覚だったが、いま振り返ってみると、右も左も分からないような若手のうちにこういうケースを経験できたことは、その後の自分にとって幸いだったと思う。
— 🍀いちは🍀 (@BookloverMD) March 30, 2022
なるほど…。
大事な教訓
端から妄想と決めつけず慎重に診察してくれる医師に出会えたのは、ご家族にとっても幸いでした。
うちの祖母もこれと同じことがあり、俺もボケがやべー!泥棒なんてこんな田舎にいんのかよ!と24時間完全に無施錠ハウスしてたら、後日犯人逮捕されてほんとに現金盗まれてたんだ!俺は金盗むのは上の兄貴二人くらいだと思ってたから泥棒っているんだなーと感心してた。祖母はほら!って言ってた。 https://t.co/o4sitMT6nq
— おれ (@tokyonoojisan) March 31, 2022
『高齢だから』という先入観を持たずに、まずは本人の話を真剣に聞いてあげることが大切ですね。
関連:施設ではなく入院を希望する高齢患者の家族。理由を聞くと…えぇ
みんなの反応
●これは年配者に関わるお仕事をしていたら気に止めておかないといけない事だねぇ~
●経験しました。妹は母を心配する気持ちから〈認知〉だと言っていました。でも母は認知ではありませんでした。いつも一緒にいるとかえってわからない場合もあるようです
●私も、高齢の母の話を妄想だと決め付けないようにしよう
●人間は慣れると経験から決めつけがちだが、こういうことができるのがプロフェッショナルなのかもしれんな
まさかのお話に、他のユーザーからも大きな反響が寄せられていました。