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衝撃!可哀想なライオン”セシル”の問題に激怒する世界。しかし現地の意見は…

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2015年7月、アフリカ・ジンバブエで、一頭のライオンがアメリカ人歯科医によって殺されました。ライオンの名は「セシル」。観光客からもよく知られた存在でした。

[ada]

たくさんの人から愛されていたライオンが、遊びで大型動物を殺すというスポーツハンターによって無残に殺されてしまったというニュースに、世界中が激怒しました。

▼このニュースは日本のメディアでも大きく報じられました。

 
ところが、先日、ニューヨーク・タイムズが紹介したジンバブエ人の意見は、我々が知っている世界の反応とは似ても似つかないものでした。その内容をご紹介しましょう。

 
■セシルが殺されたニュースを聞いて…
反対意見の主は、アメリカ・ノースカロライナ州の大学に通う学生、グッドウェル・ンズーさんです。グッドウェルさんは、ジンバブエ出身。幼少時代はアフリカの大自然に囲まれた村で過ごしました。
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ライオンのセシルが殺されたニュースを聞いたとき、グッドウェルさんの胸をよぎったのは、怒りでもセシルに対する同情でもありません。

村にとっての脅威が1つ減った。良かった、嬉しい。
それが、グッドウェルさんの偽らざる本心でした。

逆に、ハンターが悪者扱いされていることを知ったグッドウェルさん。「驚くとともにがっかりした」と語ります。それは、グッドウェルさんにとって、5年間のアメリカ在住生活の中で、最も大きいカルチャーショックだったのです。

 
■ジンバブエ人にとってのライオン
その理由は至ってシンプルです。グッドウェルさんたち地元のジンバブエ人たちにとって、ライオンは人を殺す非常に危険で有害な動物です。世界の人々から愛称で呼ばれるような可愛らしい動物ではない、ということを実体験として痛感しているのです。

それは、グッドウェルさんが9歳のときにさかのぼります。村の家畜が次々とライオンに襲われ、殺されたのです。

子供たちは外で遊ぶことができなくなり、集団登校を余儀なくされます。姉たちは、水を汲みに行くこともままならず、大人の女性たちでさえ、斧や槍で武装した男性たちに付き添われながらしか、森に薪を拾いに行くことができなくなってしまいました。

 
さらに、ライオンの恐怖は現実味を帯びます。

翌週、おじがライオンに襲われ、片足に大けがを負いながら、命からがら逃げ延びてきました。夜に焚き火を囲んで行われていた楽しい集まりもできません。夜間の外出などもってのほか。今や、村の平和は、恐ろしいライオンによって完全に奪われてしまいました。

こんな存在であるライオンがやっと殺されたときの喜びは、グッドウェルさんにとって、忘れられない思い出です。

どうやって殺されたのか、地元の人が殺したのか、外国からの娯楽目的のハンターが殺したのか、密猟だったのか合法な猟だったのか、そんなことは関係ありません。

諸悪の根源がいなくなった、村に再び平和が戻った。皆で歌い踊って、ただただ自分たちの命が救われた喜びに浸りました。

 
■ジンバブエ人から見た今回のニュース
このような経験を持つグッドウェルさんにとって、セシルが殺されたニュースに激怒している人々は、異様にも映ります。

彼らは、ライオンが人を殺すことを知っているのか?「皆に愛されているセシル」はメディアに作り上げられた虚像なのでは?人々は、「ライオンキングのお話に出てくる主人公シンバ」と勘違いしているのでは?そんな疑問が、グッドウェルさんの脳裏に浮かぶのも無理のないことでしょう。

 
比較的街の方に住むジンバブエ人たちは、グッドウェルさんのような、野生動物の危険にさらされたことはありません。ライオンを見たことがない人もいるほどです。

それでも、セシルが殺されたニュースに関して同情するような意見は出てきません。平均月収が150ドル(約1万9千円)以下の人たちに、わざわざライオンを見に行く余裕はないからです。そのようなジンバブエ人にとっては、ライオンが殺されたことなど、そもそも興味がないのです。

 
■なぜセシルばかりが特別なのか
ところが、アメリカの動物愛護団体は、セシルを殺した歯科医のことを死刑にしろとまで主張します。歯科医をジンバブエの裁判所に引き渡せという人たちは、ジンバブエが世界地図のどこにあるかも知らないようなアメリカ人。

なぜこれほどまでに、セシルばかりが特別なのでしょう。グッドウェルさんは、不思議でなりません。

なぜアメリカ人は、アフリカの人々のことでなく、特定の動物のことばかりを気にするのか。どうして偶像化されたライオンでなく、政治的暴力、干ばつ、飢餓に苦しむ人々の暮らしに目を向けてはくれないのか。

ジンバブエの人々は、首を傾げている。グッドウェルさんは、そう憤ります。

 
テレビやパソコン、スマートフォンの前で、「可哀想なセシル」のニュースを聞いた我々。一方、ジンバブエで危険な動物たちと対峙しながら、日々生活している人々。
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今回、世界的に非難されているゲームハンターたちも、ジンバブエ人から見れば、たくさんお金を払ってくれるうえ、害獣を駆除してくれる正義の味方なのかもしれません。

非常に深く考えさせられる意見でした。

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