今から、およそ14年前のこと。
海外掲示板redditユーザーのiliketieさんが働いていたマクドナルドには、決まって毎週日曜日の朝、一組の老夫婦がやってきていました。
夫のブレットさんはデカフェのコーヒーとブランマフィン、妻のヘイゼルさんはトマトをトッピングしたエッグマックマフィンを注文し、いつも2人の朝食を楽しんでいたといいます。
そのころ、客席を回って必要なケアをする「ホスト」という仕事を担当していたiliketieさんは、自然と彼らと仲良くなり…
ある日の朝、夫妻はわざわざマネージャーに確認を取って、「一緒に食事をとろう」と彼をテーブルに座らせました。
会話が始まると、ほとんどの時間はブレットさんの独壇場(笑)!
彼が初めて買った車のこと、ヘイゼルさんとの出会い、そして古き良き40年代をめぐる思い出について、たくさんのエピソードを聞かせてもらったそうです。
以来、iliketieさんは、以前にもまして彼らの来店を心待ちにするようになりました。
ところが…
初めて会ってから4か月がたったころのある日曜日、彼らが珍しくやってきませんでした。
そんな日もあるか、と思っていたら…翌週の日曜日もやってきません。
iliketieさんは不安になったものの、電話番号も住所も、ましてやラストネームすら知らない2人に連絡を取る手段はなく、どうすることもできない状況が続きます。
しかし、3週目の日曜日になって…
ようやく、ヘイゼルさんがお店に現れました。
ただ、その横にブレットさんはいません。
そして、カウンターにやってきた彼女はiliketieさんに言いました
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今日からは、エッグマックマフィン一つで大丈夫。
ブレットは…3週間前に、亡くなったわ。
その日の朝食は、いつもよりもずっと静かでした。
iliketieさんは、ヘイゼルさんが帰ったのち、冷蔵室に戻って一人で泣いたといいます。
次の週から、2人の話題はブレットさんのことばかりに。
ヘイゼルさんは、夫がどれほどものぐさな人だったかをグチっては、よく笑っていたそうです。
iliketieさんは語ります。
今はもうマクドナルドもやめて、1人で泣ける冷蔵室に行くこともできない。
だから、ぼくが出来ることははただ一つ。
ブレットの思い出を語り継ぎ、彼のように勇敢な人々の存在が、我々の人生により良い変化をもたらすよう祈るだけだ。
一緒のテーブルに座って、同じ食事をとり、互いの記憶を分かち合う。
世界中の人々が、そんな平和な朝を迎えられるようにと願わずにはいられない一幕でした。