イスラエルのテルアビブからカナダのトロントへと向かう国際線の飛行機での出来事です。
[ada]
操縦の最中、パイロットは只ならぬ異変を感じました。貨物室の温度調節機能が壊れていたのです。
国際線は高い高度で飛ぶため、このままでは貨物室の温度がどんどん下がっていってしまいます。
パイロットの判断を大いに苦しませたのは、この飛行機の貨物室は、ただの荷物置きではなかったということです。そこには、なんとフレンチブルドッグのシンバが乗っていました。
シンバのいる貨物室が極寒になることを承知の上で、このまま飛行を続けるか。或いはシンバを助けるために、何らかの手段を講じるか…。
シンバのために行動すれば、他の乗客を待たせたり、航空会社に損害を与えたりすることは明白です。ただし、このまま飛行を続けた場合、シンバが死んでしまう可能性が十分にあります。それを知っていながらも飛び続けるべきなのでしょうか。
苦渋の判断でしたが、パイロットは潔く決断しました。思いやりにあふれる一方、大きな損失の生じる決断です。
.@AirCanada pilot diverts way off course to save dog: http://t.co/tPR1bf0yPd pic.twitter.com/au8I4WtsTo
— WTHR.com (@WTHRcom) 2015, 9月 16
そして、カナダへ向かうはずの飛行機は、ドイツ・フランクフルトへ降り立ちました。おかげで航空会社は、余計な燃料費として1万ドル(120万円程度)の損失を負い、乗客には75分の遅れが発生しました。
しかし、シンバの飼い主は、お金では買うことのできない、かけがえのない愛犬の命を受け取ったのです!
「犬の命も人間の命も、みな同じ命。救えるのであれば救ってあげたい」と考えた彼の判断には、「それがベストだった!」と称賛する声が、圧倒的に多く寄せられました。
飼い主の男性も「この犬は我が子同然なんです。本当によかった!」と、感極まった様子。
動物好きでない人にとっては、ただの犬かもしれませんが、飼い主にとっては大切な大切な家族。温かい人間性と決断力のあるパイロットが担当だったことは、まさに幸運だったと言えるでしょう。