犬が献身的に飼い主に仕える話はよく聞く話ですが、今回はその逆の話です。
[ada]
■突然の悲劇
オーストラリア人の男性は、山間部でのキャンプ中、3歳の飼い犬チョコと散歩していました。すると途中、野生の豚を追いかけて川岸へ走り出したチョコ。男性が追いかけていくと、川の中から突如現れた巨大なワニが、チョコに襲いかかりました。
お尻に噛みかれたチョコは、ワニにぐるんぐるんと振り回され、そのまま川の中へと引きずり込まれていったのです…。
さっきまで一緒に散歩をしていた愛犬が、ワニに襲われ、さらわれていく様子を目の当たりにした男性。一瞬の出来事に、その場に呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。
それから約2分後…チョコはぷかりと水面へ浮かんできて、川岸へと勢いよく泳いで戻ってきました。そこにワニの姿はありません。
しかし、川岸に泳ぎ着いたチョコは下半身にひどい傷を負っていて、歩くこともできない状態でした。飼い主の男性はチョコを担いでキャンプ地に戻り、お腹にあいた傷などを塞ぐ応急処置をした後、獣医のもとへ連れて行くことにしました。
■犬を担いで100キロの道のりを下山することに
ところが、キャンプ中での出来事だったため、そこにはチョコを運ぶための乗り物もありません。いちばん近い車道ですら、100キロ近く離れています。
男性はチョコを担いで山道を歩くことを決意します。目眩がするほどの道のりでしたが、チョコの命には変えられません。
チョコが重くてどうしようもない時は、鎮痛剤を飲ませて、少しだけ自分の足で歩いてもらい、そしてまた担いで歩き…と、繰り返しながら1歩1歩、歩みを進めました。
丸2日かけて、やっと大きな車道へ出ることができると、すぐにヒッチハイクを実行。運良く、すぐに車に乗せてくれる人が現れ、無事に獣医のもとへ辿り着くことができました。
チョコは、ただちに後ろ足の緊急手術を受けることに。
何としても早く治療を、とチョコを山から連れ出した男性。獣医は、「もう少しで手遅れになるところだった」と、彼の適切な判断と行動力を称賛しました。
■世界で一番の存在
チョコの傷が完治するまでには、かなりの時間を要するそうです。そのため治療費も相当な額になってしまうのですが、男性は「お金のことは気にならない。長い距離を担いで歩くことだって平気だ。もっと歩けたくらいだ。」と語ります。
「私達はパートナーであり、家族であり、彼は世界で一番の存在なんだ!」
かけがえのないチョコを救うため、丸2日もかけて、ただ一心に山道を歩き続けた男性。誰にでもできることではありません。
突然の悲劇に襲われたチョコでしたが、飼い主さんの強い愛情が生んだ行動力で事なきを得ることができました。これからもたっぷりの愛情に包まれながら、幸せに過ごして欲しいですね(*´ェ`*)