親子のゾウを歌った童謡「ぞうさん」。知っている人がほとんどだと思いますが、そこに込められた深い意味まで知っている人は、少ないのではないでしょうか?
童謡の作詞家として有名な、まど・みちお先生が手がけた「ぞうさん」の歌詞がこちらです。
ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
ぞうさん
ぞうさん
だれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ
きっと、多くの人が口ずさめるであろうこの歌詞。
これを読むと、鼻の長いゾウを単に紹介しているような内容に思えます。ですが、実はこの歌詞には、もっと深い意味があると言うのです。
動揺「ぞうさん」に込められた意味は…
淑徳大学社会学部・金子保教授が発表した論文によると、まどさんは「ぞうさん」の歌詞に対して、このようにお話しされているそう。
「この地球上の動物はみんな鼻は長くないのです。そういう状況の中で『おまえは鼻が長いね』と言われたとしたら、それは『お前は不具だね』と言われたように受け取るのが普通だと思います。
しかるにこのゾウは、いかにも嬉しそうに『そうよ、母さんも長いのよ』と答えます。長いねと言ってくれたのが嬉しくてたまらないかのように、褒められたかのように、自分も長いだけでなく自分の一番大好きなこの世で一番尊敬しているお母さんも長いのよと、誇らしげに答えます。
このゾウがこのように答えることができたのはなぜかといえば、それはこのゾウがかねがねゾウとして生かされていることを素晴らしいことだと思い幸せに思い有難がっているからです。誇りに思っているからです。
(中略)
ゾウに限りません。けものでも虫でも魚でも鳥でも、いいえ草でも木でも数かぎりない生き物がみんな夫々の個性を持たされて生かされていることは、何物にもかえられない素晴らしいことです。
もちろんその中の一員として、人間が人間として生かされているのは本当に素晴らしいことです。」
ありのままが素晴らしい
「ぞうさん」は、単なるゾウの紹介ではなく、この世に生きるすべての動物の存在を肯定し、「そのままの姿がいちばん素晴らしいのだから、自信を持って生きなさいよ」と告げているというのです。
悲しい事件が起こったり、生きづらいと感じることも多い現代。けれども、「ありのままが素晴らしい」と教えてくれる「ぞうさん」の歌詞を理解して読めば、心がすっと軽くなる気がします。いつまでも歌い継がれてほしい名曲ですね。