北アイルランド・カウンティダウンに住むシャノン・ロックさん、23歳。てんかんに侵され、17歳のときから週に数回、多いときには1日に5回も発作が起きてしまう苦しい生活を送っています。
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てんかんの発作は、ときに命を脅かすほど重篤になることもあるため、働くことも外に出ることもできず、基本的にはずっと家で過ごしていないといけないそうです。
そんなロックさんが自立した生活を送るために、欠かせない存在であるのが、ラブラドールの愛犬「ポピー」です。
なんとポピーが、ロックさん自身でも気付かない発作の前兆をとらえ、予知してくれるというのです。
発作が起こる15分~20分ほど前から落ち着きがなくなり、前足でロックさんの足を押したり、鼻を膝に押してつけてくるというポピー。
このときも15分前に知らせてくれたおかけで、ロックさんは発作に備えてベッドで横になる準備をすることができました。
そして発作が起こり始めると、ポピーはロックさんの顔を優しく舐め続けます。
唾液で口の中がいっぱいになると喉をつまらせてしまう恐れがあるので、それを防いでくれているのです。
以前は孤独に闘っていた発作の時間でしたが、今はポピーが側にいてくれるおかげで、発作から立ち直ることが早くなったと語るロックさん。
▼ロックさんが勇気を持って公開した、一部始終の様子はコチラでご覧いただけます。
「犬がてんかんを予知する」という不思議な現象について、未だメカニズムは明らかになっていません。
しかし、仮説の域ではありますが、犬には発作前に現れる飼い主の微妙なしぐさの変化を読み取ったり、発作前に脳内で発生する電気的な変化を感知できる能力があるのではと言われています。
また、特別な訓練により「てんかん予知」ができるようになる犬もいますが、その数は非常に少ないようです。
ポピーには、初めからこのような予知能力があったわけではありません。誰かの訓練を受けたわけでもありません。
「ある日ポピーが変な行動をはじめたんだけど、何でなのか全然分からなかったわ。ただ、私にしきりに近づいてきて、息を切らしているようだった。最初は全然気にしなかったけど、ある時、何か良くないことが起こるってことを感じ取っているんじゃないかって気付いたの」と語るロックさん。
突然開花したポピーの能力は、大好きな飼い主さんへの強い愛情から生まれたのではないでしょうか。
「ポピーは、前向きに人生を楽しむための自信をくれたの。」ロックさんにとってポピーは、てんかんの苦しみに希望の光をあててくれた救世主。ペットや友達という関係を超えた、かけがえのないパートナーなのです。
そして今後、てんかん患者の未来が大きく変わる可能性も。現在、同国ベルファストにあるクイーンズ大学では、ポピーの協力のもと、研究者たちがてんかん患者に対する犬の能力の有効性について、研究を進めているそうです。