1匹の犬が横たわっているのは…なんとお墓の前の穴。セルビアの首都ベオグラードで撮られた1枚の写真が世界で話題になりました。いったいこの犬、どうしてこんな所に入り込んでしまったのでしょうか?
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■お墓の穴に横たわる犬
2015年4月、お墓の前の穴の中に、身を隠すように入り込んだ1匹の犬が発見されました。
声を掛けても、穴から出てきてくれる様子はありません。そのため、セルビアで動物保護活動を行っているヴェスナ・ミハイロスキさんが、何とか助け出そうとその墓地へと駆けつけました。
そこで、驚きの事実が発覚します!
■中にいたのは!?
一向に出てこようとしない犬の様子を不思議に思い、そのお墓の中を覗き込んでみると…、なんと生まれたばかりの子犬たちが見つかったのです!
そう、この犬は生まれたばかりの子犬を守ろうと、お墓の下に穴を掘り身をひそめていたのです。おそらく頼れるもののいない母犬が出産を控え、どこかに安全な場所はないかと探し当てたのが、この墓地だったのでしょう。
調べてみると、このお墓の下の穴はかなりの大きさで、身重の体でこれだけの穴を掘るのは並大抵のことではありません。”何とかして我が子を守りたい!”という母犬の決死の思いが伝わってきます。
■母の愛が子犬たちを救った!
運の良いことに、屋根代わりになっていた墓石も落ちずに持ちこたえてくれました。とは言っても、このままでは墓石が崩れ、犬たちが生き埋めになってしまうのも時間の問題です。
保護活動家のヴェスナさんは、母犬と子犬たちをすぐに保護することに。
よっぽどお腹が空いていたのでしょう。ヴェスナさんに保護された母犬は、無心で食べ物を食べたそうです。
発見されたときの子犬たちの様子から考えると、この母犬は、自分自身はほとんど何も食べられない状態にもかかわらず、子犬たちが生きられるよう母乳をずっと与えていたようです。
■強く優しい母犬の愛
犬たちは、ヴェスナさんたちの手によって、十分な食事や安全な寝床を与えられました。子犬たちも元気いっぱいに成長しています。
子犬たちの命を守り抜いた強くたくましい母犬も、今はこんなに優しい表情を浮かべるようになりました。
強くそして優しく子犬たちを守った母犬。その愛は、人間も動物も全く変わりありません。