作家の入江弥彦@2020文フリ京都(@ir__yahiko)さんは、『カイコ』を巡る小学生時代の忘れられない思い出について、Twitter上に投稿しました。
カイコってご存知でしょうか。シルクを紡いでくれる虫です。
小学校低学年のときにカイコをクラスで育てて糸を取る授業があったんです。
カイコの幼虫って白くてつるつるで可愛くて、そのあまりの可愛さから夏休みは全部連れ帰って育てる係に立候補しました。→
— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
虫が苦手な母は突然現れたクラス全員ぶんの幼虫に卒倒しそうになりながら「かわいいねえ」って言ってくれたんですけど、相当無理してたと思います。ごめんね。
夏休みの間、カイコが食べる桑の葉を毎日取りに行って、それはそれは大切にお世話をして育ててたんですよ。
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— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
夏休み明けに学校に連れていったカイコは徐々に繭になっていきました。
カイコが繭を破って出てきてしまうと糸が綺麗にとれないので、中に入っているうちに茹でてしまいます。
それで先生が「明日茹でます」なんていうものだから、辛くて繭をひとつだけお道具箱の中にかくまったんですよ。→
— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
翌日の家庭科室でした。クラスメイトが気持ち悪いと笑って騒ぎながら、私が大切に育てたカイコの繭を茹でていてですね。どういう気持ちだと言えばよかったのでしょう。
いやね、とれた糸はすごく綺麗でしたよ。そりゃもう綺麗でした。まだ家にあります。でもきっと、大半の人は捨てたはずです。→
— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
しばらくして、お道具箱の中に匿った繭からカイコガがでてきたんです。ふわふわで可愛くて、天使みたいな虫。
自然に逃がしてあげようと思っていたんですけど、カイコガって飛べないんですよね。餌も食べられないんです。→
— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
その時の私はそんなこと知らなくて、育て方が悪かったのかなとか仲間がいないからかなとかすごく悩みました。
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— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
結局、そのカイコガは私のお道具箱の中で死んでしまったのですけれど、そうなるのならあのときに仲間と一緒に茹でて、綺麗な糸にしてあげれたほうがよかったのかもしれません。どうするのが正解だったのかは、いまだによくわかりません。
— 入江弥彦@2020文フリ京都 (@ir__yahiko) 2019年11月18日
「確実に失われていく命」を、どのように看取るべきだったのか。
大人にとっても非常に難しい問いです。
正解はないけれど
ツイートの中で、『自分の選択が本当に正しかったのかわからない』と語っていた入江さん。
しかし…
お道具箱の中で死んでいったそのお蚕さんは、@ir__yahikoさんの感受性になって、いまも元気に綺麗な言葉を紡いでいるのではないでしょうか。
素敵なお話ありがとうございました。— るるる (@yuri_ryu_rrr) 2019年11月19日
「天使のような虫」が、1人の子どもに大きな成長をもたらした。
仰るとおり、その事実が揺らぐことは、これから先も決してありません。
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みんなの反応
●そのまま小学校の道徳の教科書に載せられそうな話だなぁ
●カイコの飼育授業を受けたものとして共感
●一連のスレッド、リプライまでとても美しくせつない。『命をいただく』は、食べ物だけでなくここにもある
深く考えさせられるお話に、他のユーザーたちからも大きな反響が寄せられていました。