カリフォルニア州の保護施設へと連れてこられた、1匹の猫。
スパローと名付けられた彼女は妊娠しており、施設に連れてこられたその日に、4匹の赤ちゃん猫を出産したといいます。
動物保護のボランティア団体を営んでいるジャクリーンさんいわく…
けれども、私が着いたとき、子猫のうち2匹は既に息を引き取っていて…
さらに、もう1匹の命も、風前の灯火だったんです。
たった独りの子ども
猫の親子は、いずれもノミに集られていて、また子猫のうち1匹はひどい脱水症状と栄養失調に罹っていました。
一刻も早い治療が必要だと確信したジャクリーンさんは、彼らを引き取り、必要な処置を施したものの…
残念ながら、3匹目の子猫も、この世を去ってしまいます。
唯一生き残った子猫のフィンチに、スパローは全力で愛情を注ぎました。
それでも、赤ちゃんが鳴き声をあげると、すぐに応じて寄り添ってあげていたんです。
しかし、フィンチの体重はなおも増えず…
ジャクリーンさんは、母乳だけでは健康的に成長するのは難しい、と判断します。
そこで、毎時間チューブで栄養たっぷりのご飯を食べさせてあげることに。
献身的な看護によって、生き残るために必要な活力を得たフィンチは、少しずつ体重も増え、健康になっていきましたが…
救助から一ヵ月後、ジャクリーンさんのもとに、新たな「悪い知らせ」が届きます。
母猫のスパローは『猫白血病ウイルス』に罹ってしまっていたのです。
このウイルスは、病気への免疫力を著しく弱めてしまう、といったもので…
さらに、猫同士で非常に感染しやすい、という特徴を持っていました。
万が一、まだ体力のない子猫のフィンチが感染してしまえば、取り返しのつかない最悪の事態になってしまう可能性も。
そのため、母猫のスパローは、唯一生き残った子猫のフィンチとも、離れ離れにならなければいけませんでした。
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家族の愛情
重い病気に苦しみ、さらには独りぼっちになってしまったスパロー。
そんな彼女を、とあるカップルが里親として迎えてあげました。
孤独な母猫に、めいいっぱいの愛情をもって接する2人。
スパローも、すぐにそれを受け入れて、喉を鳴らして甘えるようになったといいます。
ソファーに座ると、私の体に飛び乗って、頭突きみたいな勢いで顔を寄せてきて……
あまりにすごい勢いなので、そのまま私の身体を飛び越してしまうこともあるんです。
治療を続け、やがて少しずつ免疫力を取り戻していったというスパロー。
ちょっぴり不器用だけど、社交的で、好奇心旺盛で、遊ぶのが大好き。
幸いなことに、病気も快方に向かっています。
他の猫と暮らすことは出来なくても…
最高の里親に迎えられた彼女が寂しい思いをすることは、きっともうないでしょう。
不幸な記憶を拭い去るほどの幸せが、その未来に訪れるよう祈ってやみません。