ケリー・オコーネルさんが、黒毛の子犬・チャーリーに出会ったのは、まだ19歳の頃、ニューヨークで暮らしていたときのことでした。
真冬にショッピングカートの中へ捨てられていたのを発見され、シェルターに保護されていたというチャーリー。
はじめは犬を引き取るつもりなどなかったケリーさんでしたが、たまたま彼の姿が目に入った瞬間…
この子は、私の家族になる。
不思議と、そう思ったといいます。
それから数年後。
獣医になったケリーさんはチャーリーを連れてコロラドに引っ越し、同じく獣医であり、後に夫となるガーヴィンさんに出会いました。
やがて、一緒に暮らすようになった2人と1匹。
ところが…
彼らが結婚式をあげる計画を立て始めたときに、不幸な事実が判明します。
15歳と高齢になったチャーリーが、重度の脳腫瘍を患っていることがわかったのです。
その時点で、彼の病状は非常に深刻な段階に達しており、誰もが結婚式当日までチャーリーは生きられないだろうと思っていました。
しかし…
「ケリーさんのウェディングドレスを見る」
彼はそう、心に決めていたのでしょう。
これまで5回も発作を起こし、式当日は自宅で面倒を見てもらえるようケリーさんが手配していたにも関わらず
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チャーリーは、式場に姿をあらわしたのです。
自分の足でバージンロードを歩ききり、ケリーさんの晴れ姿を近くで見ることができたチャーリー。
席に戻る体力がなくなってしまった彼は、ケリーさんの妹に抱えられてその場を後にします。
セレモニーを終えたケリーさんは彼のもとに駆けつけ…
膝をつき、その体を抱きしめながら、「頑張ったね、本当に頑張ったね」と何度も何度も声を掛け続けました。
式の様子を撮影した写真家のジェン・ズィユーベンスさんは、後にこう語っています。
そして彼らは、チャーリーがもう長くないこと…
式が終わって数日後には、この世を去るであろうことがわかっていたのだと思います。
結婚式から一週間と数日がたった日。
チャーリーは、静かに息を引き取りました。
彼が起こした奇跡は、これからも…
彼が愛した家族の胸の中で、消えることのない輝きを放ち続けることでしょう。