しなの鉄道株式会社で軌道(主に線路の保全業務を行う部門)を担当する方が運営している、しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_)のアカウント。
そこに以前、「人身事故が発生した時、鉄道会社側はどのような作業をしているのか」について説明するツイートが投稿されました。
※以下、事故現場等の描写も含まれますので、苦手な方はご注意ください。
これまで大雨や災害時において、運転再開に時間がかかる理由についてはお知らせして参りましたが、人身事故についてはあえて言及をして参りませんでした
次ツイート以降、人身事故発生時の取り扱いにつきまして説明させていただきたいと思いますが、閲覧注意とさせていただきますのでご注意ください— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
1. 事故があった場合、防護無線にて近くを走行する全ての列車が停止
運転士が走行中触車を確認した場合、直ちに非常ブレーキを取り扱い、防護無線を発報します。これにより無線を受信した近隣走行中の全ての列車が停車し、事故現場へ突入しない仕組みになっています
運転士は停車後指令へ連絡、指令は当該区間の列車抑止手配を行い、防護無線の復位を指示します— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
2. 車両の点検および接触した対象を確認後、救急と警察へ連絡
抑止手配完了後、運転士は指示により車外点検を行い、人と衝撃したことが分かり次第指令へ救急と警察の手配を依頼します
ワンマン運転の場合、その後運転士が車内乗客の非常ブレーキ取り扱いに際しての被害の確認、ツーマンの場合は車掌が行い、結果を指令に報告します— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
3. 専門部署の社員がすぐに出動。夜間や休日は到着に時間を要することも
指令では人身事故発生に伴い、技術センター社員に出動を要請します
災害時と同じように、平日の昼間であればすぐに準備、出発できますが、夜間、休日の場合は各社員を家から呼び出します
現場へは腕章、状況調査用紙、水、じょうろ、医療用ゴム手袋、火ばさみ、業務用消臭剤などを持って行きます— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
4. 消防と警察の到着
消防、警察が到着するまでの間、運転士は当該旅客に声をかけたりする事もあるそうです
消防到着時、少しでも息があるようでしたら、救出後救急車で搬送されますが、救出作業中に判断がなされた場合、または到着時にすでに判断がつく場合、消防は引き上げ、その後警察によって搬送されます— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
5. 警察の現場検証
我々が現場到着した頃はすでに消防と警察が到着していることが多いです
救出作業中は我々は手出しができません
消防が引き上げ、当該旅客が搬出されると、次は警察による現場検証が行われます
これも昼間ならば遺留品等も見つけやすいため早く終わりますが、夜間ですと非常に時間がかかります— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
6. 警察から運転再開の許可後、鉄道会社による事故現場の処理
警察による現場検証が終了後、警察側の責任者より運行再開の許可が出ますが、我々の仕事がここからとなります
現場の清掃、消臭剤の散布、周辺設備への被害確認、鳴りっぱなしの踏切の対応等
清掃と消臭剤散布にしても、最高速度でぶつかった場合は、その範囲も広くなるため、時間が読めません— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
7. 一度ダイヤが乱れると、運転再開が何分後になるのかわからない
上記の事が全て終わって初めて運転が再開されます。
止まっていた時間が長ければ長い分だけ、通常ダイヤへ戻すのに時間がかかります。
もちろん現場から指令へ、指令からは各駅へ逐次情報が流れますが、現場に詰めている我々も運転再開が何分後になるのか全く分かりません— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
8. 駅の乗務員は、運転再開時間やその後の調整などは全くわからない
そのような状況ですから、直接お客様と接する駅員や乗務員におきましては進捗はわかっても、何分後に動き出すか、また再開後もどのような運転整理がなされるのかは全くわかりません
一般のお客様には大変ご迷惑をお掛けすることは重々承知しておりますが、こういったことも知っていただければ幸いです— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
「なぜ運転再開の目途すらたたないのか?」とイライラしてしまうことがあっても…
これほど多くの手順を踏む必要があるのだと知ると、改めて、そうした感情が身勝手なものであるのだと痛感しますね。
ネットの反応
●電車通勤の方、ぜひご覧下さい
●そっかー。淡々としてる文だけど、大変さが伝わるなあ
●鉄道を利用する全ての人が、知っておきたい現実の話
しなの鉄道(非公式)さんは、最後に次のような呟きを寄せました。
ここで改めまして
このツイートが届く全ての皆様に、どうか、いのち大事に— しなの鉄道(非公式) (@shinanorailway_) 2016年9月23日
ひとりでも多くの方が、この言葉に目を通してくれることを願います。