以前に日本語学者・飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki)さんが投稿した、ビジネス英語における「了解」という言葉の立ち位置を巡る呟きに、再び注目が集まっています。
「了解いたしました」がべつに失礼ではないという話は以前にもしましたが、あまり誤解は解消されていないようです。改めてまとめを作りました。不必要な軋轢(あつれき)がなくなることを願うばかりです。 pic.twitter.com/lJKeoRhnmL
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年6月12日
飯間さんは続けて、過去に自分が発信した情報について、訂正のコメントを投稿しました。
「了解」「承知」の区別は、べつに相手が目下か目上かには関係ない、ということを、私は何度かツイートしています(特にこれ https://t.co/GIZ8FyXaqL )。ところが、その私は2013年、大学のセミナーで「相手には『了解いたしました』より『承知いたしました』を使ったほうがいい」と述べています。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年3月13日
2013年に撮影されたセミナーのビデオで、私は「了解」には敬意が入っていない、「承知」を使ったほうがいいと、現在の私が完全否定している説を、得意気に話しています。私はこの映像をつい昨日見て驚愕し、「お前誰だ! 何を言ってる!」と心の中で叫びました。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年3月13日
「私はなんと迂濶な人間だろう、一貫性のない人間だろう」と自己嫌悪に陥りました。当初、無批判に同意していたからといって、後に不合理な部分に気づいたならば、同意を撤回するのは当然です。ただ、私の場合、当初同意していたことをきれいに忘れていたのは、間抜けでした。お粗末な話ですみません。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年3月13日
念を押しておきますが、「了解」に敬意が入っていないのは確かです。「了解です」は目上に失礼です。だからといって「『了解』は目上に使うな」は論理が飛躍しています。謙譲を表す「いたしました」をつけた「了解いたしました」ならば、べつに失礼ではありません。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年3月13日
時代の流れの中で目まぐるしく変化する、言葉の受け取られ方。
「しかし」というべきか、「だからこそ」と言うべきかは分かりませんが、我々はもう少し、日本語のマナーについて寛容になるべきなのかも知れません。
ネットの反応
●素晴らしい解説! 語用論的にも文法的にも。まぁ「了解しました」で切れるアホとは仕事したくないですけどw
●誤解されてしまった言葉を一堂に集めて名誉回復の場を与える本が出れば、話題になりそうですね
●とはいえ、機嫌を悪くするリスクがあると思うと、詳細を知らない客には「了解いたしました」を少し使いにくいと感じる
文面の意味そのものよりも先に、「発信者の意図」を汲み取ること。
それだけで世の中のコミュニケーションは、今よりずっとスムーズなものになる気がします。