女性なら誰しも、美しく見られていたいもの。愛する男性からの目はなおさら気になってしまいます。
しかし人生には、もっと大切なことがあります。そんな大切なことに気付かせてくれたのは、女性写真家に届いた、ある男性からのメッセージでした。
女性の甘美さを表現することを追求する、ブドワール写真家のヴィクトリア・ハルトムさん。
彼女が写真家としての仕事を始めたばかりの頃、テキサス州に住む30代半ばの女性から「クリスマスプレゼントとして夫に贈る写真を撮って欲しい」との依頼を受けました。
それならば、ロケーションも最高のものをと、豪華ホテルの一室を撮影場所に選んだハルトムさん。女性のなめらかなラインとふくよかな体型に、まるで女神のようだとうっとりしながら、シャッターを切りました。
しかし撮影を終えたとき、女性の口からある”お願い”が。
「腫れて赤くなった妊娠線と、セルライトと、シワを全部消して欲しいの。」
充分に美しい女性からのお願いに驚いたハルトムさんでしたが、「一度でいいから自分が美しいと感じたい」という女性の願いを聞き入れることに。
こうして、女性なら誰もが羨むようなアルバムが出来上がりました。
間もなくしてクリスマスが訪れ、女性は予定通り、このアルバムを夫へプレゼントしました。その心は、きっと喜んでくれるに違いないという自信に満ちていました。
しかし3日後、彼女の夫から写真家のハルトムさん宛てに、1通のメールが届きます。
あなたが撮影してくれた妻のアルバムを、先日受け取りました。嫌な気持ちにさせるつもりは全くありませんが、どうしても伝えたいことがあったので、メールを送ることにした次第です。
妻とは18歳のときからずっと一緒に過ごしてきて、2人の素晴らしい子どもたちに恵まれました。色んなことを一緒に乗り越えてきたんです。
妻はときどき、私が妻のことを魅力的に思っていないんじゃないか、もっと若い子を見つけてもおかしくないと言うのですが、このアルバムを開いたとき、理由が分かったと同時に、心が沈みました。
妻の写真はどれも美しくて、あなたがとても才能のある写真家であることはすぐに分かりました。でも…
それらはどれも、本当の妻の姿ではなかったのです。妻自身がそう頼んだのでしょうが、妻の欠点は全て無くなっていました。それはつまり、私たちの人生を形作ってきた大切なモノが、すべてそこから無くなっていたということなのです。
妊娠線は子どもたちが生まれた証。シワは僕らが20年以上もの間、笑ったり泣いたりしてきた証。セルライトは妻のパン作りへの愛情と、これまで一緒に食べてきた美味しいものの証だったのです。
あなたはただあなたの仕事をした、それだけのこと。あなたを嫌な気持ちにさせるためにこんな話をしたのではありません。むしろ感謝の気持ちを伝えたいのです。
この写真を見ることで、私がどれだけ妻のことを愛しているのか、そのままの妻の姿をどれだけ愛しく思っているのかを、妻に十分に伝えきれていないのだと気付かされました。
私がもっと上手くやらなきゃいけない。これからは彼女をどれだけ大切に思っているか、言葉にして伝えていきます。気付かせてくれてありがとう。
メールを読み終えたハルトムさんは、罪悪感で子どものように泣いてしまいました。それから半年ほどの間も、読み返すたびに涙が溢れてきたといいます。
この話が公開されると大きな反響を呼び、Facebookでは1.9万件以上のいいね!がつき、6千回以上シェアされました。
たとえ見た目が変わっても、そのままの自分を受け入れ愛してくれる人がいる。このかけがえのない幸せを大切にして、理想の自分ばかりを追い求めるのではなく、今ある自分を受け入れられたら素敵ですね。