ストーリー

「もう死にたい」思わず言ってしまった車椅子の母。娘の返事は意外なものだった

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今からちょうど7年前、岸田ひろ実さんは突然、大動脈解離という病気に襲われました。心臓から出る大きな血管が裂けていく病気で、裂けきったら即死…。緊急搬送された病院では、9割の確率で命を落とすだろうと宣告されました。

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10時間にも及ぶオペの後、幸いにも一命を取りとめることが出来ましたが、麻酔から覚めた岸田さんの足は全く動こうとしません。胸から下が完全に麻痺してしまったのです。

これまで当たり前のようにできていたことができない…。岸田さんは「すべてを失ってしまった。絶望と向き合う日々が始まってしまった。」と当時の想いを振り返ります。

 
しかし、それから7年の月日が流れた今、彼女の表情は希望に満ち溢れています。

「今ここにいる私は、実は今までの人生の中で一番幸せだと思っています。歩いていたときより、今のほうが楽しいです。幸せです。夢も希望もたくさんあります。毎日ワクワクして生きています!」

不幸せだなんて微塵も感じさせない、幸せな気持ちと明るい人生を取り戻した岸田さん。この7年間で、一体どんな出来事が起こっていたのでしょう。

 
病気になる3年前に夫を亡くし、共に暮らす家族は長女とダウン症の長男。自分にとって頼れる存在であるのは、たった1人の長女だったと言う岸田さん。

「ママ、大丈夫だから。一緒に頑張ろう」と毎日励ましてくれる娘。しかしその励ましも、当時の絶望に暮れていた岸田さんにはひとつも響かなかったと言います。落ち込んでいる姿を見せたくないという意地から、娘の前で涙を見せることもありませんでした。

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そんなある日、岸田さんの人生観を180度変える大きな転機がやってきます。

病院から外出許可が出たと聞いた娘が、「三宮の街に行こう。歩いていた時と同じように、買い物をしてご飯を食べようよ」と誘ってくれたのです。入院生活も、もう半年以上…。久々の外出に、岸田さんの胸はワクワクと高鳴っていました。

 
しかし、病院の外へ出るなり、彼女の気持ちは瞬く間に崩れ落ちていきます。越えられない段差がある、普通のトイレにいけない、混雑した道を通るのが申し訳ない…。どうにか辿り着いた夕食のお店に入れば、通路が狭くてテーブルに着くのがやっと…。

すっかり落ち込んでしまった岸田さんの気持ちは、もう限界になっていました。

そしてとうとう娘に言ってしまったのです。「もう、なんでママ生きているんだろう?死んだほうがましだった。死にたい。」

 
そこに返ってきたのは、岸田さんの想像にはなかった驚きの言葉でした。

「死にたいなら死んでもいいよ。死んだほうが楽なくらい、ママが苦労してしんどいの知ってるから。」「でも、私にとってはママはママ、何も変わらない。だから大丈夫、2億%大丈夫だから。」

死んでもいいという思ってもみなかった選択肢をもらい、岸田さんのなかで何かが変わりました。「歩けないことばかり悔やんでも、落ち込んでるばっかりでも、何も楽しくない!」

それからは不思議なことに、何だか外に出たくなり、何かやってみようと思うようになったのです。前向きにリハビリを乗り越え、ついに退院することができました。

 
どんどん外に出て、たくさんの人と知り合うなかで、今まで気付かなかった多くのことに気付くようになった岸田さん。現在は、障がいのある彼女自身の立場から「ユニバーサルマナー」を教える仕事に就き、障がい者との向き合い方や接し方の理解を広めています。

娘さんにもらった愛のある言葉から、岸田さんは「障がい=不幸」ではないことを知りました。障害が彼女に価値を気づかせ、夢と仕事を与えてくれたのだと言います。

 
岸田さんの人生を変えた娘さんの言葉。娘さんは全部分かってくれていました。

もし、あなたが落ち込んでどうしようもないとき、死にたいと思ってしまったときは、そんな気持ちを押し殺さずに、大切な誰かにひとこと話してみてはどうでしょう。

きっと、あなたが前向きになって一歩踏み出す手助けをしてくれるでしょう。そうでなくても、うんうんと聞いてもらえるだけで心がすっきりするかもしれません。マイナスをプラスに変えられるのは、決して自分自身だけではありません。

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